【介護現場必見】業務改善活動を成功させる!進捗管理の秘訣と挫折しないコツ
介護現場の生産性向上シリーズでは、チームの組成から始まり、課題の見える化、実行計画立案、解決策の実行までの一連のステップを詳しく解説しています。本記事は、そのシリーズの第4回として、「改善活動に取り組もう」のステップについて解説します。
介護現場での業務改善活動は、職員の負担軽減や利用者へのサービス向上につながる重要な取り組みです。しかし、多くの事業所では「改善活動を始めたものの途中で頓挫してしまう」「職員の協力が得られない」などの悩みを抱えています。本記事では、業務改善活動を最後までやり遂げるための進捗管理の方法と、挫折しないためのコツを詳しく解説します。
生産性向上の基本ステップ

生産性向上を進める上で、以下の6つの基本ステップを押さえることが重要です:
- 改善活動の準備をしよう
- 現場の課題を見える化しよう
- 実行計画を立てよう
- 改善活動に取り組もう(本記事のテーマ)
- 改善活動を振り返ろう
- 実行計画を練り直そう
本記事では、特に手順4の「改善活動に取り組もう」に焦点を当て、効果的な進捗管理の方法と改善活動を成功に導くためのポイントについて解説していきます。
目次
業務改善活動における進捗管理の重要性
介護事業所での業務改善活動は、委員会を立ち上げ、チームで取り組むことが一般的です。しかし、日々の業務に追われる中で改善活動が停滞してしまうケースも少なくありません。特に「活動してくれない人がいる」「理解を得るのが難しい」「どうやったら最後までやり遂げられるか」といった悩みを抱える事業所も多いでしょう。
こうした問題を解決するためには、適切な実行と管理の方法を導入することが不可欠です。業務改善の一連のステップの中でも、「どう取り組むか」という実行段階は特に重要です。チームを結成し、課題の見える化を行い、改善方針を立てた後は、具体的な進め方を明確にする必要があります。
効果的な進捗管理の2つのステップ
業務改善活動を効果的に進めるためには、次の2つのステップが重要です。
進捗管理シートの作成
プロジェクトリーダーが主導して、「誰が」「いつまでに」「何をするか」を明確にした進捗管理シートを作成します。
人間は明確に決められていない物事をやり抜くことが難しいものです。期限や実施事項が具体的に資料にまとめられていると、期限までに完了させようというモチベーションにつながります。目に見える形で進捗状況を把握できるようにすることが、活動を継続するための重要なポイントです。
進捗管理シートのダウンロード先:https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-seisansei-elearning.html
進捗管理ミーティングの実施
進捗管理シートを作成した後は、1ヶ月に1回程度を目安に進捗管理ミーティングを実施します。このミーティングでは、以下の4点について話し合います。
- 実施事項の進捗確認:管理シートをベースに、各タスクの進捗状況を確認します。
- 実施事項の懸念点共有:「想定より時間がかかっている」「効果が出ないかもしれない」などの懸念点を共有します。
- スケジュール調整:懸念点に基づいて、必要ならスケジュールの見直しを行います。
- 次回までの実施事項確認:次回のミーティングまでに実施すべき事項を確認します。
また、ミーティングで話し合った内容を議事録にまとめ、全員に共有することも重要です。明文化されていないと、決まったことを実際にやり抜くことが難しくなります。どこかに書き残しておく習慣をつけましょう。
進捗管理シート作成の2つのポイント
進捗管理シートを作成する際には、以下の2つのポイントに注意しましょう。
改善プロセスを細かく記載する
改善活動、特に初期段階では、可能な限り細かい工程に分けて記載することが重要です。細かく分けることで、作業工程のイメージが湧きやすくなります。
良くない例:
- 改善するべき箇所を探す
- 転記作業を減らす改善を実施する
- 改善後の振り返りを行う
良い例:
- Aフロアの5名の職員にヒアリングを行う
- ヒアリング内容をベースに改善箇所の優先順位を決める
- 優先順位の高いものから、どのような記録にするべきか議論する
- 改善した場合の運用を実践してみる
- 運用の定着度や効果について職員にヒアリングする
目安としては、「明日からこのステップなら実施できそう」「やるイメージが湧く」というレベルまで細かく分けることをおすすめします。
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期限は各担当者に決めてもらう
進捗管理シートに記載する期限や予想所要日数は、プロジェクトリーダーではなく、実際の担当者に決めてもらうことが重要です。
期限が上から降ってくるのではなく、自分自身で考えて設定した期限の方が、スケジュール通りに進みやすくなります。例えば、リーダーが3週間で終わると思っていた作業が、実際の担当者からすると1ヶ月半かかるということもあります。こうしたギャップを埋めるためにも、「いつまでできそうか」を担当者自身に問いかけることが大切です。
計画通りに進まない時の対処法
いくら細かく進捗管理シートを設定し、定期的にミーティングを行っても、計画通りに進まないことはあります。その際の対処法を3つご紹介します。
小さく改善活動を始めてみる
改善活動を事業所全体で一度に始めようとすると、協力を得るのに時間がかかることがあります。まずは特定のフロアやチームで試してみる、あるいは多くの記録の中から一部だけを変えてみるなど、小さな範囲から始めることがおすすめです。
いきなり大規模に始めると挫折しやすいので、小さく始めて少しずつ範囲を広げていくことを習慣づけましょう。
協力者を巻き込む
生産性向上の活動はチームで行うことが重要です。一人で実施するよりも、多くのメンバーの意見を取り入れることで、より良いアイディアが生まれますし、解決策の実行もスムーズになります。
また、既存のやり方と衝突する場合も、一人で提案するよりもチームとして提案した方が受け入れられやすくなります。委員会のメンバーだけでなく、特定の分野が得意な人に助けを求めることも効果的です。
課題に立ち返る
活動の途中で「このやり方で合っているのだろうか」と不安になることもあるでしょう。そのような迷いが生じたときこそ、最初に設定した課題に立ち返ることが重要です。
改善活動は「こうしたらいいのではないか」というイメージをベースに進めますが、課題は事実として存在しているものです。確固たる事実をベースに思考を積み重ねることで、間違いを減らすことができます。困ったときほど課題に立ち返り、現在の進め方が適切かどうかを見直しましょう。
業務改善活動を成功させるための心構え
最後に、業務改善活動を成功させるための心構えについてお伝えします。
まず、進捗管理シートの計画通りに進むことは稀であり、計画通りに進まなくても問題はないと考えましょう。この管理シートは、工程の進め方やスケジュールのイメージを膨らませるためのものです。具体的なイメージが持てたのであれば、すでに一つの役割を果たしていると言えます。
また、計画と実際にかかった時間の差から学びを得て、次回の計画に活かすという姿勢が重要です。例えば、職員へのヒアリングが1週間で終わると思っていたが実際には2週間かかったという経験を、次回の計画立案に反映させましょう。
業務改善活動は簡単ではなく、途中で挫折してしまうケースも少なくありません。しかし、チームとして一致団結し、適切な進捗管理を行うことで、必ず成果を出すことができます。
介護事業所の皆様が自ら業務改善のサイクルを回せるようになることを目指して、本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。