【介護事業所必見】生産性向上を成功に導くチーム作りの秘訣
介護現場の生産性向上シリーズでは、チームの組成から始まり、課題の見える化、実行計画立案、解決策の実行までの一連のステップを詳しく解説しています。本記事は、そのシリーズの第1回として、「改善活動の準備をしよう」のステップについて解説します。
介護現場での生産性向上活動を成功させるためには、まず適切なチーム作りから始める必要があります。本記事では、効果的なチーム作りの方法と、改善活動を成功に導くためのポイントについて解説します。
生産性向上の基本ステップ

生産性向上を進める上で、以下の6つの基本ステップを押さえることが重要です:
- 改善活動の準備をしよう(本記事のテーマ)
- 現場の課題を見える化しよう
- 実行計画を立てよう
- 改善活動に取り組もう
- 改善活動を振り返ろう
- 実行計画を練り直そう
本記事では、特に手順1の「改善活動の準備をしよう」に焦点を当て、効果的なチーム作りと改善活動の基盤づくりについて解説していきます。
はじめに
介護現場では慢性的な人手不足や業務負担の増加により、多くの事業所が職員の離職や残業時間の増加といった課題に直面しています。これらの問題を解決するためには、計画的かつ効果的な生産性向上への取り組みが不可欠です。しかし、「どのようにチームを編成すべきか」「誰をメンバーに選ぶべきか」といった基本的な疑問を持つ管理者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、生産性向上活動を成功に導くための重要な第一歩である「チーム作り」に焦点を当て、効果的なチーム構成のポイントや運営方法について詳しく解説します。この記事を参考に、あなたの事業所に最適な生産性向上チームを立ち上げ、持続可能な介護現場の実現を目指しましょう。
目次
- 生産性向上チームの役割と構成
- 最適なチームメンバーの人数
- チームメンバーの選定ポイント
- プロジェクトリーダーの重要性
- プロジェクトオーナーの役割
- キックオフの実施方法
- 全体への周知の重要性
- まとめ:成功するチーム作りのポイント
生産性向上チームの役割と構成
生産性向上活動の第一ステップは、適切なチーム作りです。チームは主に3つの役割で構成されます。
プロジェクトオーナー
- 役割: 方針の最終決裁、予算管理
- 適任者: 経営層、施設長クラス
- 重要ポイント: リーダーを信頼して任せること、必要な権限を与えること
プロジェクトリーダー
- 役割: 改善活動の主導、方針検討、タスク割り当て、進捗確認
- 適任者: 介護従事者層のリーダー、主任クラス
- 重要ポイント: チーム全体の推進力となるため、最も重要なポジション
プロジェクトメンバー
- 役割: タスク実行、意見出し
- 適任者: 介護従事者層、ICT機器に慣れている職員など
- 重要ポイント: 多様な視点を持ち、実行力のあるメンバー構成が望ましい
最適なチームメンバーの人数
生産性向上チームの理想的な人数は、6〜10名程度です。この人数設定には以下の理由があります。
少なすぎる場合の問題点
- 多様な意見が集まりにくい
- 実行段階でのマンパワー不足
- 特に大規模事業所では現場全体の声を拾いきれない
多すぎる場合の問題点
- 一人あたりの発言機会が減少
- 会議の効率性が低下(一般的に6人以上で効率が下がるとされる)
- 日程調整の難しさ
- チームとしての一体感の形成が困難
チームメンバーの選定ポイント
チームメンバーを選ぶ際は、以下の優先順位で検討すると効果的です。
最優先:現状に課題感を持っている人
- 「今の運用はおかしい」「もっと良くできるはず」と感じている人
- 中途入職者など、フレッシュな視点を持つ人
- 理由: 課題発見や解決策検討、実行の全てのフェーズで推進力になる
次に重要:現場の運用に精通している人
- 現在の業務フローを熟知している人
- メリット: 現状の背景理解や影響範囲の把握が素早くできる
- 注意点: 変化に対して否定的になりがちな面もある
同じく重要:客観的に物事を見られる人
- 現状の運用を合理的に評価できる人
- メリット: 必要な変革を躊躇なく提案できる
- ポイント: 現場精通者と客観的視点を持つ人のバランスが重要
その次:ICTに抵抗がない人
- 新しい技術やツールに前向きな人
- 理由: 介護ロボットやICT機器導入の際に推進役になれる
その他の観点:成長を促したい人
- 将来性のある人材や育成したい人材
- 理由: 委員会活動を通じた人材育成の機会にもなる
プロジェクトリーダーの重要性
生産性向上チームの中で最も重要なのは、プロジェクトリーダーです。リーダーの資質は以下のような点が重要になります。
熱量と推進力
- プロジェクトの成否を左右する最大の要因
- 時間が限られた中でも活動を継続できる情熱
- 暗中模索の状況でも前に進める意志の強さ
リーダー選定のポイント
- 業務改善に対して高いモチベーションを持っている人
- コミュニケーション能力が高く、チームをまとめられる人
- 現場の状況と経営の視点の両方を理解できる人
プロジェクトオーナーの役割
プロジェクトオーナーはチーム内で2番目に重要なポジションです。主な役割と重要ポイントは以下の通りです。
主な役割
- リーダーの行動を理解し支援する
- 機器導入などの際に必要な裁量を与える
- 最終的な方針決定を行う
- 予算管理を担当する
重要なポイント
- リーダーを信頼し、任せること
- 必要な時に適切な権限を与えること
- プロジェクトの障壁を取り除く役割を担うこと
キックオフの実施方法
チーム編成後、プロジェクトを正式に開始するためのキックオフは非常に重要です。以下の要素を含めたキックオフを実施しましょう。
キックオフで明確にすべき事項
- プロジェクトの目的:例えば「腰痛予防で長く働ける職場づくり」「残業時間削減で定時退社の実現」など
- 取り組みの範囲:どの業務・部署が対象か
- 活動方法:委員会の開催頻度、期間
- 実施体制:メンバー構成、役割分担
- 予算:導入可能な機器やツールの範囲
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全体への周知の重要性
生産性向上活動は、チームメンバーだけでなく事業所全体の協力が必要です。そのため、活動内容の周知は非常に重要なポイントとなります。
周知のタイミングと内容
- 活動開始時:プロジェクトの目的、活動内容、メンバーの紹介
- 課題の見える化後:収集した課題と優先的に解決する課題の選定理由
- 実行計画策定後:具体的な改善施策と協力依頼事項
- 成果が出た時点:改善の成果と次のステップ
まとめ:成功するチーム作りのポイント
介護事業所における生産性向上チーム作りのポイントをまとめます:
- 適切な役割分担:オーナー、リーダー、メンバーの役割を明確に
- 理想的な人数:6〜10名程度のバランスの取れたチーム構成
- メンバー選定の優先順位:課題感を持つ人、現場精通者、客観的視点を持つ人、ICTに強い人を中心に
- リーダーの重要性:熱量と推進力のあるリーダーの選定が成功の鍵
- オーナーの支援:リーダーを信頼し、必要な権限を与えること
- 明確なキックオフ:目的、範囲、方法を全体で共有
- 全体への周知:活動内容を定期的に事業所全体に伝える
生産性向上活動は、適切なチーム作りから始まります。この記事で紹介したポイントを参考に、あなたの事業所に最適なチームを構築し、持続可能な介護現場の実現を目指しましょう。
TrueNorthでは、生産性向上活動の伴走支援を行っています。チーム作りから実行計画の策定、活動の評価まで、包括的なサポートを提供していますので、お気軽にご相談ください。