【2025年度速報】介護テクノロジー導入補助金の最新動向|厚労省予算概算要求から読み解く今年度予測
人手不足や業務負担が深刻化する介護業界において、テクノロジーの活用による生産性向上は喫緊の課題となっています。厚生労働省は介護テクノロジーの導入を促進するため、毎年補助金制度を設けていますが、令和7年度はどのような変更点があるのでしょうか?
本記事では、厚生労働省の最新予算資料から読み解く「介護テクノロジー導入支援事業」の内容を徹底解説します。補助金の申請を検討している介護事業所の方々に向けて、効果的な活用法と押さえておくべきポイントをご紹介します。
【出典】厚生労働省「令和7年度厚生労働省所管予算案の主要事項」
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/25syokanyosan/dl/01-02.pdf (33ページ参照)
目次
- 介護テクノロジー導入支援事業とは
- 令和7年度の主な変更点
- 補助対象となるテクノロジー
- 補助要件と申請のポイント
- 補助額と補助率
- パッケージ型導入のメリット
- 補助金活用の実践的ステップ
- まとめ:生産性向上に向けた戦略的な補助金活用
1. 介護テクノロジー導入支援事業とは
介護テクノロジー導入支援事業は、厚生労働省が介護事業所における生産性向上とケアの質の向上を目的として実施している補助金制度です。この補助金は国から各都道府県に地域医療介護総合確保基金として配分され(国3/2、都道府県1/3の負担割合)、都道府県ごとに公募要項が作成されます。
予算資料の確認方法
補助金の最新情報を知るには、厚生労働省の予算資料を確認するのが最も確実です。「厚生労働省 予算」で検索すると該当ページが表示され、令和7年度予算関係資料から必要な情報を入手できます。
2. 令和7年度の主な変更点
令和7年度の補助金事業には、以下のような注目すべき変更点があります:
予算規模
予算総額は公式資料によれば、令和7年度も前年度と同様の97億円が確保されています。
対象分野の拡大
厚生労働省の資料によれば、介護テクノロジー利用における重点分野が拡大されました。従来の移乗支援、排泄支援などに加え、新たに以下の3分野が追加されています:
- 機能訓練支援
- 食事・栄養管理支援
- 認知症生活支援・認知症ケア支援
これにより、補助対象となるテクノロジーの範囲が大幅に広がりました。
新たな導入形態
「パッケージ型導入」という新しい枠組みが追加されました。これは複数のテクノロジー(介護ロボット、ICTなど)を連動させて導入する場合に適用され、より高額な補助を受けることが可能です。
Wi-Fi環境整備の扱いについて
厚生労働省の令和7年度予算資料(主要事項)の33ページに記載された内容を確認したところ、昨年度明示されていたWi-Fi環境整備に関する補助項目の記載が今年度の資料では確認できません。この扱いについては、各都道府県の公募要項の発表を待って詳細を確認する必要があります。
3. 補助対象となるテクノロジー
令和7年度の補助対象となるテクノロジーは、大きく以下の3カテゴリーに分類されます:
介護ロボット
- 移乗支援
- 移動支援
- 排泄支援
- 見守り・コミュニケーション
- 入浴支援
- 新規追加:機能訓練支援
- 新規追加:食事・栄養管理支援
- 新規追加:認知症生活支援・認知症ケア支援
ICT
- 介護ソフト
- タブレット端末
- インカム
- クラウドサービス
- 業務効率化に資するバックオフィスソフト
パッケージ型導入
- ICTなど複数のテクノロジーを連動して導入する際に必要な経費
これらの導入を検討する際は、自事業所の課題や改善したい業務プロセスを明確にした上で、最適なテクノロジーを選定することが重要です。特に新規追加された分野に該当する製品は、今年度から補助の対象となるため注目に値します。
4. 補助要件と申請のポイント
補助金を申請する際は、以下の要件を満たす必要があります。公式資料によれば、以下の要件を満たす必要があります:
共通要件
- 生産性向上に資する業務改善計画書の提出
具体的な業務改善目標と、テクノロジー導入によってどのように生産性が向上するかを明記します。 - 第三者による業務改善支援または研修・相談による支援の受講
外部専門家のアドバイスを受けることで、効果的な導入・活用を促進します。
施設・居住系サービス特有の要件
- 利用者の安全および介護業務の効率化に関する委員会の設置
入所・居住系の場合は、利用者の安全確保や介護職員の負担軽減に関する委員会の設置が求められます。
在宅系サービス特有の要件
- ケアプランデータ連携システムの利用
在宅系サービスの場合は、令和7年度以内にケアプランデータ連携システムの利用開始が求められます。
これらの要件は、厚生労働省の公式資料に明記されており、単にテクノロジーを導入するだけでなく、業務プロセスの見直しや組織体制の整備も含めた総合的な生産性向上を目指す方針を反映しています。申請前に各都道府県の公募要項で詳細を確認し、要件を十分に理解した上で準備を整えておくことが重要です。
5. 補助額と補助率
補助金の上限額と補助率は、導入するテクノロジーの種類や事業所の取り組み内容によって異なります:
補助上限額
公式資料に基づく各区分の補助上限額は以下の通りです:
テクノロジー種別 | 補助上限額 |
---|---|
介護ロボット(移乗支援・入浴支援) | 100万円/台 |
介護ロボット(その他分野) | 30万円/台 |
ICT | ・事業所規模1~10人:100万円 ・事業所規模11~20人:160万円 ・事業所規模21~30人:200万円 ・事業所規模31人以上:260万円 |
パッケージ型導入 | 400万円~1,000万円 |
補助率
厚生労働省資料によれば、補助率については以下の要件を満たす場合は3/4、満たさない場合は1/2となります:
共通要件(必須)
- 業務改善や職場環境の改善により収支が改善された場合、その利益を職員に還元することを計画に明記
- 第三者による業務改善支援を受けていること
介護ロボット導入の場合の追加要件
- 見守り機器、インカム、スマートフォン等のICT機器、介護記録ソフトの3点を活用すること
- 従来の人員体制の効率化を行うこと
- 利用者ケアの質の維持・向上や職員の負担軽減に資する取り組みを予定していること
ICT導入の場合の追加要件
- 在宅系:ケアプランデータ連携システムを利用し、データ連携を行う相手事業所が決定していること
- その他:LIFEにデータを提供している、または提供を予定していること
- 文書量の半減を実現させる導入計画となっていること
パッケージ型導入の場合
- 介護ロボットとICTの両方の追加要件をすべて満たすこと
6. パッケージ型導入のメリット
令和7年度の注目ポイントである「パッケージ型導入」について、そのメリットを詳しく見ていきましょう:
高額な補助金
パッケージ型導入は最大1,000万円と、3つの枠の中で最も高額な補助を受けることができます。大規模な業務改革を検討している事業所にとって魅力的な選択肢です。
総合的なデジタル化
複数のICTを連動させることで、情報の一元管理や業務の効率化がより効果的に実現できます。例えば:
- 介護記録システムとインカムの連携による情報共有の迅速化
- 複数システム間のシームレスなデータ連携
- 統合的な業務プロセスの実現
ただし、パッケージ型導入は補助要件も厳しいため、事前の準備と計画が重要です。補助率3/4以上を目指す場合は、詳細な要件を確認し、それらを満たす計画を立てる必要があります。
7. 補助金活用の実践的ステップと計画立案
補助金を効果的に活用するためには、戦略的なアプローチが必要です。以下に具体的な計画立案のステップを示します:
1. 現状分析と目標設定
- 事業所の業務フローの可視化と課題抽出
- 具体的な数値目標の設定(例:記録業務の時間30%削減)
- 導入後の理想的な業務フローの設計
2. 補助金申請に向けた準備
- 都道府県の公募要項の入手と詳細確認
- 第三者による業務改善支援の手配
- 委員会設置(施設・居住系サービスの場合)
3. 導入計画の具体化
- 具体的な製品・サービスの選定
- 詳細な導入スケジュールの作成
- 職員研修計画の立案
4. 導入効果の測定・評価計画
- 具体的な評価指標の設定
- 導入前後の比較方法の確立
- PDCAサイクルの構築
この計画立案により、単なる機器導入ではなく、業務プロセス全体の改革として取り組むことができます。また、補助金申請時に求められる「生産性向上に資する業務改善計画書」の作成にも役立ちます。
8. まとめ:令和7年度補助金の主要ポイント
厚生労働省の公式資料(令和7年度厚生労働省所管予算案の主要事項)によれば、令和7年度の介護テクノロジー導入支援事業の主要ポイントは以下の通りです:
- 予算規模の継続
前年度と同様の97億円の予算確保 - 対象分野の拡大
機能訓練支援、食事・栄養管理支援、認知症生活支援の3分野追加 - パッケージ型導入の新設
複数テクノロジーの連動導入により最大1,000万円の補助 - ICTの事業所規模別補助上限額の明確化
職員数に応じた段階的な上限額設定 - 補助率の優遇条件
特定要件を満たせば3/4以上の補助率適用
これらの変更点を理解し、自事業所の状況に合わせた最適な申請方法を選択することが重要です。各都道府県の公募要項が発表されたら、詳細を確認し、計画的に申請準備を進めましょう。